アンナと安奈と不思議な町 ①-Ⅰ
自作小説、前に書いていたのを載せてみようかと思います
気ままに更新していきますんで、よかったら見てってください
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アンナと安奈と不思議な町~
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アンナは憂鬱だった。「アンナ、早く支度してね。宅急便で送るから。」きびきびとした母の声。アンナは口をへの字にまげて、最悪・・・と呟くと目の前にあるダンボール箱に片っ端から荷物を入れ始めた。>
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「神原 アンナ。」「はい。」アンナの手に卒業証書がのった。アンナはお辞儀をして赤い壇からおりた。証書を左手で持つと、保護者席の目の前をアンナは歩いた。席に戻って他の人の証書授与を見た。その後卒業の言葉を言い、校歌を歌って卒業式は終了した。「アンナ、今日すごいかわいいよ。いつももかわいいけど。」親友の三咲が言った。「ありがと。三咲もかわいいよ。」アンナは正直、自分でも決まっていると思った。紺のブレザーにチェックのスカート。卒業式の衣装の定番だが、アンナの顔立ちはハーフなおかげで色は白く、瞳には水色が混じっていて唇は薄く、欄に入れるとしたら、かわいいの欄に入るに違いなかった。それに、体形もすごくいいという訳ではないが、太ってはいなかった。三咲は反対に、ちょっとふっくらしていて丸顔だった。「アンナはいいよね。勉強も出来るし、かわいいし・・・・言う事ないよ。」三咲が憧れのまなざしで言った。アンナはちょっとはにかんだ。こうしても自分はかわいい顔を保てると、実験済みだったからだ。男子から、何度告白された事か・・・でもアンナは全員断った。OKと言ったら自分が軽い女に見られると思ったからだった。
卒業式が終わると、みんなはじけていた。アンナも、はじけていた。
これから春休み。終わったら中学校。憧れのブレザーが毎日着れる。もう全て取り寄せた。着ると案の定、アンナには似合った。
家へ帰ると、母にもう一度制服を着たいと言った。「アンナ・・・大事な話なんだけど・・・」パーフェクト日本人の母はアンナの目を見て言った。「お父さんの転勤が決まったの。制服は返品したわ。明日にでも出発しないと。」アンナは目を見開いた。「そんな・・・」でも・・と思い直して言った。「あっちの学校でも制服、ブレザーだよね。」「分からないわ。行ってみないと・・・お母さんもお父さんも言った事ないのよ。」アンナの気持ちは急激に落胆した。
。。。次回へ続く